山鹿 平山温泉(上田屋)の旅

山鹿 不動岩

 宿に向かう前に、一度は訪ねてみたかった「不動岩」に登ってみました。山鹿市東部の三玉地域では、山腹に不動岩と呼ばれる奇岩が露出しています。古くは山伏の修験場であり、民話の題材としても使われています。現在は、九州自然遊歩道のルートとしても親しまれています。

平山温泉「上田屋」共用部

 山鹿の奥座敷といわれる平山温泉街からさらに奥まった丘の上に、8棟の全室露天風呂付の離れが佇む宿です。当日は車で向かい、入口のカーゲートを通り、急こう配の坂道を登って駐車場に着きました。駐車場では、駈け寄ってきたベテラン女性スタッフが、笑顔で出迎えてくれました。 スタッフは母屋に立ち寄ることなく、荷物を持って離れの宿泊棟へ案内してくれました。離れでは部屋の配置や露天風呂の使い方など、実演をまじえて、懇切丁寧な説明を受けました。一段落した後記帳をすませ、食事の時間などを決めました。

「上田屋」 宿泊棟「蝶尾」

今回予約したのは「蝶尾」と名付けられた、約80平米のワンルーム形式のスイートルームです。ライトブラウンの床とライトグレーのクロスに、収納部の金色の襖が見事に調和し、華やかな中にもすっきりとした空間を演出しています。柔らかな間接照明に照らされたベッドスペースには、シモンズのセミダブルベッド2台が、充分な間隔を保って設えてあります。ジムナストの枕が肩と頭を程よく支えてくれて、マットレスの適度な硬さと相まって、充分な休息をとる事ができました。窓際の広いウッドデッキに続く露天風呂は岩風呂で、ゆうに3・4人は入れる贅沢な広さです。泉質は単純硫黄泉で、肌にまとわりつくようなすべすべ感は、湯上り後も長く続きます。

「上田屋」夕食

 夕食と朝食は母屋の食事処「日本料理 うえ田」の個室で頂きました。母屋の玄関に入るや否や、「金魚のアクアリュウム」が目に飛び込んできて、思わず感嘆の声をあげてしまいました。個室のテーブルには、既に先付けと前菜が配膳されています。趣味の良い器に盛られた前菜の数々を見たとたん、料理長の心意気が感じ取られ、これからの晩餐に対する期待が膨らみます。次に運ばれてきたお造りは、箸をつけるのが勿体ないほどの美しい盛り付けです。背景には桂剥きの大根が山鹿灯篭に見立てられ、季節感漂う飾り葉の緑に伊勢海老や本鮪の赤が見事な調和を見せています。絶妙のタイミングで供される料理長渾身の皿々は、どれをとっても甲乙つけ難い逸品揃いです。中でも揚げ物「丸茄子の芝海老射込み揚げ」は、添え物の万願寺とうがらしの素揚げや刻み葱との相性が抜群で、ついつい冷酒の盃を重ねてしまいました。地だこの釜めしはそのまま食べても美味しいのですが、濃厚なコンブ出汁と薬味で頂くお茶漬けは、〆に相応しい秀逸なお味でした。

「上田屋」朝食

 朝食のテーブルにつくと、昨夜頂いた伊勢海老の頭を使った味噌汁が、大きな鍋で待ち構えていました。その他にも野菜を中心とした、体に優しい小鉢の数々が並び、食欲をそそります。中でも自家製の湯豆腐は大豆そのものの香りが素晴らしく、ペロリと平らげてしまいました。

山鹿 アイラトビカズラと相良寺

 山鹿市菊鹿町相良は、天然記念物で有名なアイラトビカズラの生息地として知られています。日本では菊鹿町だけに自生するとされるマメ科の常緑蔓植物で、紅紫色の花がブドウの房のように垂れ下がって咲きます。残念ながら最盛期には1週間ほど遅かったのですが、その優美な姿は鑑賞に値するものでした。ついでと云っては怒られるでしょうが、すぐ近くの相良寺の千手観音にもお詣りしてきました。

 上田屋は新築に近い広々とした離れに滞在し、トロトロの美肌の湯を存分に楽しみ、料理長の気合の入った会席料理を堪能することができた二日間が、あっという間に過ぎてしまいました。どちらかというとおこもり系の宿ですが、お子様も積極的に受け入れているようです。カップルは言うに及ばず、女子旅や家族旅にも、自信をもってお薦めできる宿です。

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